任意整理で和解できない場合はほかの弁護士を訪ねてみる
和解できない債権者が現れて悩まれている方は、べつの専門家を訪ねてみることも視野に入れて、再和解についてもう一度検討するのがコツです。
専門家も得意な債権者があったり(信販会社は得意だが、闇金は苦手だ、とか)、得意な債務整理法があったりしますので、ある事務所では和解できなかったのに、べつの事務所では借金を返済することができた、ということがけっこうあります。
どうせ、再和解をする際に、交渉に費用がかかります。
和解ができない債権者が現れた場合、ほとんどの専門家は個人再生や自己破産をすすめてきます。任意整理をお願いしたら、べつの債務整理方法をすすめられた、というのも債務整理でよくあるケースです。
べつの専門家を訪ねてみることを強くおすすめします。
おすすめの法律事務所です。何度でも相談は無料です。再和解についてたずねてみましょう。
債権者に理由があって和解できない場合の3つの選択肢
交渉できない債権者が現れた場合は、次の3つのどれかを債務者は選択することになります。
任意整理が和解できない場合の3つの選択
- 和解できなかった債権者の借金は独自で返済する
- 任意整理以外の債務整理を改めて検討する (個人再生、自己破産)
- 再び任意整理の和解に向けて交渉をする
和解できなかった債権者の借金は独自で返済をする
和解できた債権者とだけ任意整理をして、和解できなかった債権者の借金は独自に返済をしていくケースです。
たとえば、サチコさんが和解できた債権者とのみ任意整理の返済をしました。
A社、B社、C社、と三社からお金を借りていて、A社とB社は任意整理の和解に応じましたが、C社は交渉がうまくいきませんでした。
C社には独自で返済をしていくことになります。
債権者 | A社 | B社 | C社 |
債務額 | 40万円 | 40万円 | 40万円 |
和解 | OK | OK | NG |
返済方法 | 任意整理によって返済 | 任意整理によって返済 | 独自に返済 |
和解できた債権者と任意整理をして返済が滞った場合
途中で思わぬ和解不成立が起こって計画通りの返済ができなくなった場合も考えておきましょう。次の3つが考えられます。
和解できない債権者がいて借金返済がむずかしくなった3つのケース
- 「1」A社、B社、C社とも和解が困難になった
- 「2」A社とB社は和解が可能だったが、C社は和解できなかった、故借金は独自で返済していく
- 「3」A社とB社は返済は可能だったが、C社は和解できなかった、故借金は放置している
「1」の場合は、A社とB社とC社とのあいだで再び交渉をするか? ほかの債務整理を検討することになります。
「2」の場合は、C社とのやりとりのみが継続することになります。
「3」の場合、C社によって取り立てが行われます。
通常、債権者は2か月支払いの遅れた債務者に対しては、「支払い督促を発送」をした後に「一括要求」、催促を無視すると、「裁判に訴訟を起こす」という3つの取り立ての過程を経ます。
どんどんと取り立ての要求は強くなっていきます。一括要求とは、巨額の遅延損害金を発生させるということです。
債権者は任意整理の受任義務などありませんから、和解を受け入れようが、受け入れまいが、債権者にとっては自由です。突然和解案を退けることもあります。
そうなると、法の行使力がある個人再生や自己破産をするしかなくなります。
債務整理を行う際は、任意整理は個人間での交渉、個人再生と自己破産は裁判所を通しての返済、としっかり認識をしておきましょう。
任意整理以外の債務整理によって借金を返済する
任意整理がむずかしい場合の多くは個人再生か、自己破産の手続きをとります。
裁判に提訴された後でも、債務整理を検討できます。
司法書士は1社につき140万円以上の債務額を扱えません。個人再生や自己破産の申立代理人を務める権限はありません。
和解交渉に亀裂が入ったことは、債務者にとってよい印象がありません。相手が法的に訴えてくることも予想されますので、弁護士にお願いしましょう。
任意整理から個人再生へ切り替えの際に気を付けるべきポイントについては、以下の記事で詳しく書いています。
任意整理から個人再生へ切り替えの際にかかる費用と注意点
任意整理から個人再生への切り替えの際にかかる費用は、安ければ20万円弱、高いと50万円くらいです。現在司法書士に任意整理をお願いしていて、個人再生に切り替えをしたい方は、新たに弁護士にお願いをしましょう。司法書士は個人再生を行う「申立代理人」の資格を持っていません。
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自己破産に関しては、デメリットをしっかり把握して、なにが生活の中で不可能になり、自分にとってなにが問題なのか、を準備しておくことが大切です。
自己破産後に債務者が課せられる事柄
- クレジットカードが作れなくなる
- 99万円以上の現金を失う
- 一定の職業に就けなくなる
- 信用情報機関に載る (いわゆるブラックリスト)
- 官報に載る
- 20万円以上の財産を失う
- 長期の旅行に行けなくなる
自己破産後に就労できない仕事
弁護士・公認会計士・行政書士・税理士・司法書士・弁理士・公証人・不動産鑑定士・土地家屋調査士・社会保険労務士・株式会社または有限会社の役員・(後見人・補佐人・遺言執行人などの資格をとることも不可能)
自己破産に悪い印象を持たれている方が多いですが、裁判所からの許可が下りればすべて元通りの生活になります。社会的不便さは考えるほど大きくはありません。
おすすめの法律事務所です。相談は何度でも無料ですので、借金の状況を話してみてください。
再和解のポイント 債務者に理由があって和解できない場合
突然病気になってしまったり、急な用立てがあったりして、当初の返済計画がうまく運ばなくなるケースは普通に考えられます。
そういう場合は、新しく交渉をし直す形で再和解をします。
遅延損害金をカットする
返済が滞った際に、もっとも注意しなければならないのは、遅延損害金の発生です。
任意整理はあくまで専門家が間に入って交渉をしているだけで、借金を完済するまで、債務者と債権者とのあいで借金契約は継続したままです。
2か月支払いが遅れると、通常の借金事情と同じように、遅延損害金が発生します。
再和解をして、遅延損害金をカットします。
再和解のときの注意ポイント
- すべての債権者が和解に応じるわけではない。
- 遅延損害金が発生する場合がある。
- 返済額を引き上げたり、短期的決算を強要してくる。
債権者は自己破産されてしまうと、取り分がなくなってしまうので、いくらか返ってくる任意整理での返済を期待していて、和解に応じてくるところが多いです。
しかし、一度計画がとん挫してしまった事案に対しては、厳しく対処してくる業者もあることは承知しておきましょう。
和解交渉の際にはさらに依頼費用がかかる
再和解をするときは、そのための弁護士費用を新しく支払う必要があります。
事務所によって、費用はそれぞれですが、通常の着手金額よりも倍くらい高いことが多いです。もちろん1社ごとにかかります。
借金返済が予定通りいかなくなることは、けっこうあることです。
任意整理を行う際は、ぎりぎりの金銭感覚ではなく、少し余裕を持って臨むことが必要です。
どうしても費用を捻出できない場合は、自己破産などのほかの債務整理を選択することになります。
和解できない場合に債務者がとるべき行動
返済計画案が現実的なのかを検討する
和解に微妙なときは、このまま交渉をつづけるべきなのか、べつの債務整理をしたほうがいいのか、を判断します。
その際にいちばんの判断材料となるのは、返済計画案が現実的なものなのかどうかです。
迷ったならば、素直に担当の専門家の意見に従いましょう。
たとえば、和解に消極的な債権者がいた場合の注意点として、時間をかければ応じてくる債権者と、突然裁判を起こしてくる債権者がいます。
専門家は長年の経験で、和解に応じない債権者が出てきた場合、どう対処したらよいかを熟知しています。待った方がいいのか? 早々とほかの選択肢を検討をしたほうがいいのか…?
債権者は1円でもお金を返してほしい、という思いがありますから、多重債務者の場合は、「うちだけは早くに返済してほしい」と短期での返済や、一括返済などの厳しい条件を突然付きつけてくることがあります。
返済を滞っていると、債権者が取り立てに乗り出してきますし、督促状を出されると、家に届きますし、家族に内緒にしていた場合はわかってしまいます。
万が一強制執行をされると、債務者の財産、給料は差し押さえられて、職場にも知られてしまいます。
裁判になっても債務整理は可能ですから、そのときになって個人再生か、自己破産の債務整理を検討する和解成立案を行っても遅くはないですが、担当の専門家が「難しい」というならば、現実的に難しいのだな、と認識しましょう。
和解できないケースがあることを知る
和解しないのは、債権者にとってみて、任意整理をしたほうが損をするからです。
任意整理で和解ができない場合には、どのような理由が考えられるかを知って、和解できる可能性を探りましょう。
任意整理が和解できないケース
- 和解できないなんらかの原因が債務者側に発覚した
- 債務者が返済計画を守っていない
- 債権者側はもともと和解するつもりはなかった
そもそも任意整理での返済自体がむずかしいケースがあります。
このようなことがあると、任意整理の和解はできません。
借金額が大きい
借金額が大きすぎると、任意整理の返済期間である3~5年での返済がむずかしいと判断されて、返済計画の目途が立たないとみなされます。その場合はそもそも弁護士が任意整理を受任しません。
返済能力が乏しい
任意整理は返済能力の判断基準としての固定収入が必要条件です。
任意整理は毎月一定の額を債権者に返済します。返済能力がない人と債権者は和解をしません。現在定期的な収入がないという方は、説得力のある返済計画についての証明をしましょう。
借金が奨学金の場合
日本学生支援機構は和解には応じません。
そもそも奨学金は年利が1%など、金利が極めて低いので、任意整理をしても減額対象になりませんから、任意整理しないことが一般的です。
奨学金の返済を抱えていて、任意整理をする場合は、「返還期限猶予」「減額変換制度」などを利用し、一時的に返済をストップしたり、返済額を減らしたりして工夫をしましょう。
以前もその業者とのあいだで任意整理をしたことがある
一度交渉をして返済経験のある債権者との間に二度目の和解をすることはできません。
ただし、任意整理途中で返済が滞った際に、返済計画案を再提出することは可能です。
借金して期間が短い
お金を借りて、すぐに債務整理をはじめられた方は、和解がしづらい傾向があります。
理由は、債権者にとってみれば、短い期間借りれた小さなお金が戻ってきてもあまり得にはなりませんし、「最初から任意整理するつもりでお金を借りたんじゃないか?」という債務者に対する疑心が拭い去れないためです。
債権者がすでに訴訟を起こしている、訴訟の準備をしている
借金問題において債権者が訴訟を起こそうとしている場合は、任意整理の和解案に応じません。すでに強制執行が行われている場合も同様です。
債権者側が担保をとっている
住宅ローン、車のローンを担保にしている債権者は、和解に応じません。債権者はそれらを売ってお金にすればよいわけです。住宅と車のローンは任意整理から外すことが一般的です。
水道・光熱費・家賃・税金・国民健康保険・介護保険のお金
水道や光熱費などは非免責債権です。そもそも債務整理によっての借金返済ができません。
借金の総額が20万円以下
借金の総額が20万円を超えない場合は、任意整理ができません。
【まとめ】任意整理が適切かを判断しましょう
和解できない債権者が現れた場合、または、返済が滞った場合は、返済がしっかりなされる計画であったか? を考えましょう。
「問題がないはずだ」と判断したならば、再和解をするよう努めればよいですし、担当が「難しい」というならばほかの専門家に相談を仰いでみましょう。
毎月一定額をしっかり返済していく任意整理の返済方法は、大きな減額が期待できる個人再生や、借金がゼロになる自己破産と違って、返済計画がずさんな場合和解ができない場合が多いです。
和解ができない債権者が現れるいちばんの原因は、債務者の返済能力にあります。
果たして任意整理が自身の返済に見合っているものなのか? を考慮して、返済をする気持ちがしっかりあるのであれば、もう一度任意整理を試みてみましょう。