借金問題クローズアップ

親の借金を相続放棄する際のデメリットとそのための対応策

投稿日:2019年8月11日 更新日:

寿々木
親が借金を残して亡くなった場合、相続放棄を考えると思うんだけども、注意すべきデメリットがあります。
借金は財産をみなされるから子供に相続されるのよね? 相続放棄をすれば支払い義務ってなくなるんでしょ?
サチコ
寿々木
だからといって、安易に相続放棄をしてしまうのはとても危険です。後々大変なことになってしまうケースもあります。そのための対策についてもお話します!

 

親の借金を相続放棄するときに考えられるデメリット

親の借金を相続放棄する際のデメリットとそのための対応策

親族が他界した際の借金は財産とみなされて相続されます。「プラスの財産」より「マイナスの財産」が多い場合は、相続放棄をすることで負債を回避できます。

しかし、相続放棄にはいくつかの問題点があります。じゅうぶんに考慮をしてから行いましょう。

相続放棄のデメリット

  • 相続放棄をしても負債は次の相続人に引き継がれる
  • 相続放棄をしてもしばらくは支払い義務は消えない
  • 一度相続放棄をすると、二度と撤回ができない
  • 財産処分をしたとみなされると、相続放棄はできない

 

相続放棄をしても負債は次の相続人に引き継がれる

借金

相続放棄のいちばんの注意点は、放棄をしても「借金」は別の誰かに引き継がれてしまう、ということです。

たとえば、亡くなった父親が残した借金を子供が譲り受けるとします。それを拒否すると、母親に、母親がすでに他界していたり、母親もまた放棄をすると、親戚へとどんどんと引き継がれていきます。

相続には「相続順位」があります。「第一順位」「第二順位」「第三順位」と、優先順位が定められているのです。

相続順位

借金

親戚と話をせずに、家族だけで勝手に相続放棄をすると、借金の相続は親戚の方たちに及んでいきますので、非常に注意が必要です。

この相続放棄における「負債移行」は、たとえば死んだ夫に内縁の妻がいたような場合にも適応されてていきます。

 

相続放棄をしても支払いの義務はしばらく残る

借金

親族すべてが同意しているので借金の相続を放棄する、といった場合どうなるか? を考えてみましょう。

相続するものが誰もいなくなった場合、債権者は「相続財産管理人」選任の申し立てをします。そのときに「相続負債」をどうするべきかがようやく検討されるのですが、管理人が選任されるまでは、相続債務は家族に残りつづけます。

相続放棄の手続きをしたからといって、すぐに支払いの義務から解放されるわけではないのです。催促状が来たり、取り立てが起こることもあります。

 

一度相続放棄をすると、二度と撤回ができない

借金

相続放棄は一度してしまうと、それを二度と撤回することができません。

後々財産があったとわかっても、相続放棄していると、それらを受け取る権利がありません。

あとで遺品整理をしていたら、骨董品が見つかって、鑑定してもらったら意外な価値が出た、という場合など一度放棄してしまっていると、財産を受け取ることができませんので、注意しましょう。

 

財産処分をしたとみなされると、相続放棄はできない

借金

相続放棄ができない場合があります。

被相続人である親の財産を知らずに使ってしまっていた場合は、相続放棄ができません。

財産処分をしたとみなされる行為

  • 被相続人のお金で入院費用の支払い
  • 被相続人の賃貸アパートやマンションの解約
  • 被相続人の所有物を売却したり、処分してしまった

被相続人の財産に手を付けてしまっていた場合、「被相続人のお金を使った」ということになりますので、相続を認めてしまったことになるのです。

たとえば、いちばんよく見られるのは、車の問題です。

被相続人が生前に車に乗っていた場合、その車を勝手に子供が処分してしまうと、相続放棄ができません。こういう場合は、一度車を所有者を被相続人ではない第三者に移して処分するか、そのままにしておくなどの処置が必要になってきます。

このように、親族一同の同意を得ている、どんな財産が後々現れてもその一切を放棄する、という覚悟と認識があっても、相続放棄を行うのには厳しいポイントがありますので、注意しましょう。

 

一部だけを相続したい場合は限定承認をする

借金

寿々木
プラスの財産の分だけ相続ができればいいなって思わない?
そんなことって、できるの?
サチコ
寿々木
限定承認」(げんていしょうにん)という方法を使います。ただ相続放棄以上に問題点があるので注意が必要です。

相続人が限定承認を検討するときには、次の3つのケースが考えられます。

限定承認を検討するケース

  • 相続される財産がいったいどれくらいあるのかはっきりしない
  • どうしても残したい財産がある
  • 相続放棄によって起る諸問題が悩みで、ほかの相続方法を検討したい

 

限定承認のデメリット

借金

プラスの財産額の分だけを相続することができるのが、「限定承認」の特徴です。

基本的に、相続には3つの種類があります。

3つの相続の種類

  • 単純承認 財産も借金も相続する
  • 相続放棄 一切の財産を相続しない
  • 限定承認 限定された額のみを相続する

たとえば、死んだ親名義の残された1,000万円の家が財産として残っていたとします。片方で、生前の借金が2,000万円残っていたとします。この場合、1,000万円だけを「限定承認」によって相続することができます。

仮に、家だけを相続したい場合は、1,000万円のみを「限定承認」すれば、1,000万円をどこからか用立てをして、1,000万円の借金を返済してしまうことで、家は財産として残せるというわけです。

しかし、承認されなかった1,000万円の負債はどうなるか? というと、次の優先順位の相続人に引き継がれていきます。

 

限定承認は相続放棄以上に現実的な解決策ではない

借金

限定承認が行われるケースはかなり稀です。年間で1,000件程度しか行われていません。限定承認は条件もとても厳しいことが特徴です。

限定承認の条件

  • 3か月以内に申請しなければならない (想像放棄と同様)
  • 相続人全員の同意が必要 (相続放棄と同様)
  • 税金がかかる
  • 財産は競売にかけられる
  • 財産に手をつけていた場合は承認されない (相続放棄と同様)

都合のいい額だけを限定的に承認しようとする「限定承認」は、負債を被ってしまう親族たちにとってみれば決して好ましいものではないため、あまりよい解決策とはいえません。

 

親族の一人でも賛同を得られなければ相続放棄をせずに借金は返済する

借金

寿々木
相続放棄は多くのデメリットがありますので、むずかしい場合は借金を返済するしかありません。
ほかに、なにか対応策はあるのかしら?
サチコ
寿々木
控除の対象になる借金がありますので、まず「債務控除」(さいむこうじょ)をして、プラスの財産があればそれでマイナスの財産を補います。残った借金は、「債務整理」(さいむせいり)による返済を考えましょう。

 

相続放棄をしないほうがいい場合

借金

相続放棄を行わないほうがよいケース

  • 財産の額が曖昧である場合
  • 遺言などなく急死した場合

相続放棄安易に行うのは危険です。親族皆でよく話し合い、1人でも意見交換ができない人がいたら、相続放棄をすることはやめましょう。

相続放棄を行う場合は、相続の義務があることを知った日から3か月以内に申請する必要があります。

たとえば、行方不明になった親が亡くなっていて、そのことを知らされたとき、すでに死後3か月であった場合などは、「相続放棄のための申述期間伸長の申請」の手続きが必要になります。

法的手続きに時間がかかる場合は、その3か月以内に申し出ると、期間を引き延ばすことができます。

相続放棄しない場合の借金はどうしたらよいか? を以下に解説します。

 

債務控除をする

借金

「相続債務」(マイナスの財産)の中には控除の対象となるものがあります。控除となるものがないかを、見直しましょう。

債務控除が認められる対象

  • 金融機関からの借入金
  • 個人からの借入金
  • 公租公課 (所得税、住民税、固定資産税)
  • 未払いの医療費
  • 事業の未払金
  • 賃貸不動産の借入金
  • 葬儀、納骨の費用

債務控除が認められない対象

  • 団体信用生命保険の住宅ローン
  • 相続税がかからない財産の税金
  • 保証人となっている債務
  • 死亡した後に発生する弁護士、税理士などのお金
  1. (1) 債務
    差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。
    なお、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付又は徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないもの(相続時精算課税適用者の死亡によりその相続人が承継した相続税の納税に係る義務を除きます。)であっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。
    ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできません。
  2. (2) 葬式費用
    葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができます。

「遺産総額から差し引くことのできる債務」 国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4126.htm

※ 控除にできるのは、貸金業者に対する借入金や、クレジットカードの未払金、税金、葬儀費用などです。すべての借金が控除の対象として認められるわけではありませんので注意してください。

 

「債務控除」でまかなえなかった額は債務整理で返済する

借金

払いきれない債務は、専門の弁護士に相談をして、債務整理によって支払いましょう。

債務整理って、どういうもの?
サチコ
寿々木
借金は余分な利息を支払っている場合が多いから、弁護士に間に入ってもらい、元本や利息を減額して支払っていくものだよ。

債務整理は国の法律にのっとって、払い過ぎた利息を引き直し計算をしたり、利息をストップさせたりして、債務者になるべく有利な条件で借金を返済していく方法です。

残しておきたい財産がある場合は、それらを売らずに借金返済をすることができます。

多すぎる利息を支払っていた場合は「過払い金」としてお金が戻ってくる場合もあります。

3つの債務整理があります。条件に見合う返済方法を考えましょう。

任意整理

  • 債務者には定期的に返済可能な固定収入が必要
  • 債権者の同意が必要
  • 債務整理後、新しいクレジットカードが作れなくなる (クレジットカード使用自体は可能)
  • 債務整理後、信用情報(ブラックリスト)に掲載される (5年)

個人再生

  • 債務者には定期的に返済可能な固定収入が必要
  • 債務整理後、新しいクレジットカードが作れなくなる (クレジットカード使用自体は可能)
  • 債務整理後、借り入れが5-10年間できなくなる
  • 債務整理後、信用情報(ブラックリスト)に掲載される (5-10年)
  • 債務整理後、官報(国の信用機関)に掲載される

自己破産

  • 債務者の借金はゼロになるが、現金以外の財産は没収される
  • 債務整理後、新しいクレジットカードが作れなくなる
  • 債務整理後、一定の職業に就けなくなる(弁護士・公認会計士・行政書士・税理士など)
  • 債務整理後、信用情報(ブラックリスト)に掲載される (5-10年)
  • 債務整理後、官報(国の信用機関)に載る
  • 債務整理後、99万円以上の財産を失う
  • 債務整理後、長期の旅行に行けなくなる

債務整理をすると、ブラックリストに掲載されますので、そのことを憂慮する方も多いですが、5年のあいだ新しいクレジットカードが作れなくなることや、借り入れができなくることのみで、クレジットカードの使用自体はできますし、務めている会社や就職に問題が生じることもありません。身内にも内緒で返済できます。

「特定調停」という債務整理がありますが、専門家を通さず借金整理をするもので、個人では手続きが面倒なため、おすすめはしません。

 

【まとめ】相続放棄の注意点と対策

借金

相続放棄をする際のデメリットと対応策

  • 相続放棄をすると、負債は次の相続人に引き継がれる。
  • 相続放棄をしても、負債の承認を外されるまでに時間がかかる。
  • 一度相続放棄をすると、二度と撤回ができない。
  • 財産処分をした場合は相続放棄の認可がおりない。
  • 限定的に相続するのは非常に危険。
  • 相続放棄ができないならば、債務控除をする。まかなえなかった額は法律の力に頼る。

 

他界したご家族の借金は身内すべてに引き継がれていきます。相続放棄をするには正しい知識と、被相続人の関係者全ての同意が必要です。

借金の問題は専門家にしっかりと相談をしてみましょう。「相続放棄専門の弁護士」に相談をしてしまうと、相続放棄を依頼する形となってしまうのために、「借金は借金専門」の弁護士に相談してみるのをおすすめします。

おすすめの弁護士事務所 【天音総合法律事務所】

診断を開始すると、質問がスタート! 「匿名」でもOKです。3分程度の簡単な記入の1分後に自動返信メールが届きます。

天音総合法律事務所は東京都の千代田区にあります。費用が割安で、借金問題に強い法律事務所です。営業は平日9時~21時、土曜10時~19時、日曜10時~19時。営業時間外でも24時間受付。面談の際には、全国どこへでも出張してくれます。

  • この記事を書いた人
寿々木 与

寿々木(すずき)

このサイトは借金に苦しんだ管理人の経験から誕生しました。自主退職後、起業で失敗し700万を失い、借金が350万円まで増えてしまって、完全に首が回らなった後、3年掛けてようやく借金を完済し終えました! わかりやすくお伝えするために、対話形式を用いてストーリー仕立にしております。

あわせて読みたい記事

借金 1

任意整理を行う際には、着手金が2~5万円、減額報酬が債務額の10%、解決報酬が2~5万円かかります。すぐに用立てする必要はありません。適正価格にするためのコツについても解説しています。

-借金問題クローズアップ
-, , , ,

Copyright© 借金返済のコツを教えます ~多重債務のブログ〜 , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.