個人間のお金の貸し借りで悩んだ場合、どう対処したらよいのか? その解決策がわかります!
お金の貸し借りをした恋人には返済しないといけません
個人間のお金のやりとりは、法律的にいえば「金銭消費賃借契約(きんせんしょうひたいしゃくけいやく )」とみなされるので、ちゃんとした契約行為にあたります。
「実際にお金の貸し借りがあった」ことと、「返す約束をした」の2点があった場合は、うやむやにはできません。基本的に、借用書の有無は関係がありません。
- お金の貸し借りの明確な証拠がある → 返済義務あり
- お金の貸し借りの明確な証拠はない → 相手が訴えれば裁判で争われる (部分返済、全額返済、全額免除)
- お金の貸し借りをした事実はあるが、返済を約束した覚えはない、しかし、後に相手が返済を求めてきている → 相手が訴えれば裁判で争われる (部分返済、全額返済、全額免除)
たとえば、こちらが「返す」といった記憶もなければ、向こうも「貸す」といった言葉もなかった、という場合においては、過去のLINEやメールに金銭やりとりのわずかな痕跡が認められれば、返済義務が立証する可能性は高いです。
元彼に借りたお金を返済する方法
元彼が「お金を返せ」と要求している場合の対応
個人間のお金の貸し借りは刑事事件ではなく、民事事件となりますので、訴えられても、懲役〇年というような刑事罰の対象とはなりません。
しかし、民事で訴えられると、強制的に支払いの要求を命じられることになります。
相手が「お金を返せ」といってきていて、対応をおざなりしていた場合、相手が訴えてこなければ、そのまま放置していても、べつに問題はないといえばないです。
しつこくストーカーをされたり、脅迫を受けたならば、逆にこちらが訴えれば、相手がストーカー規制法や脅迫罪で捕まる可能性もあります。
ただし、相手が訴えてくる可能性があるならば、しっかり対処をする必要があります。
「訴えてなんかこないでしょ…?」と思われている方は、早合点しないで、ちょっと注意をする必要があります。
訴訟は多くのところで起っています。(少額訴訟については、このすぐ下の項目でお話しています。)
相手が返済を強く要求している場合は、次の2つのどちらかを選択しましょう。
- 返済額に合意の場合 → 素直に返済をする
- 返済額に納得がいかない場合 → 弁護士に依頼をする形で、きちんと法的にのっとって相手と交渉をしてもらう
不当な利子がついていたり、金額に納得がいかない場合は、弁護士に依頼をして相手と交渉をするのが得策です。なぜなら不当な利子や不都合な返済期間を、こちらに都合のいい形でできるからです。
任意整理という債務整理法を用いれば、依頼した弁護士が二人の間に介在して返済交渉のお手伝いをしてくれます。
任意整理によって可能になること
- 多額の利息がある場合、借金が減額される
- 自分の返済能力に合わせた形で、毎月一定の額を無理のない期間で支払うようにすることができる
- 返済相手を選べる
借金を返済したいのだけれど、相手と交渉がうまくできない…そんなときにプロの手を借りることができるのが、任意整理です。
裁判を通さないので、手続きも簡単で、費用も安いので、おすすめです。
ある人には多額のお金を借りていて、ある人には少額のお金を借りていたとすれば、前者だけを任意整理の対象者として、後者については自分で交渉する、といったことができます。
ただし、本来業者相手であれば債務者への接触は即座に禁止されるのですが、個人間だと、相手からの連絡が禁止されることはないので、その点はご自身で配慮しておく必要があります。
任意整理で借金を減額して返済するには、毎月一定額を3~5年で返済していける程度の収入があることが条件です。
デメリットとしては、信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に名前が載ることになりますが、対策をとることで不安を拭い去れます。
任意整理を検討してみたい方は、弁護士に無料で相談をしてみましょう!
※ プライバシー安全を配慮してのことなので、必ず相談はお電話でしてください。無料相談であっても、第三者に内容が漏れることは絶対にありません。(弁護士には守秘義務があります。)
元彼が「お金を返せ」と裁判を起こす構えを見せている場合の対応
少額訴訟は60万円以下の金銭のやりとりで利用されます。1日で審理を終えて判決が出ます。
少額訴訟は弁護士や司法書士に頼らなくても、簡単に訴えることができるもので、お金の貸し借り問題で毎日たくさんの裁判が起こっています。
訴訟での判決の結果は事例によって様々ですが、敗訴すると、「分割払い」や「支払い猶予」などが強制的に定められることになります。
いついつまで支払ってください、とか、いついつまでは待ってはあげますよ、というような感じです。
少額訴訟では、お金を貸したほうと、お金を借りたほうとで「和解調書」が作られますが、これをもとに強制執行を認めることが可能になってきます。
たとえば、そうなると、こちらに支払い能力がない場合など、給与が強制的に差し押さえられてしまうので、勤め先にも知れ渡ってしまうことになります。
裁判で訴えられる可能性があるかもしてない…と不安な方は、早急に弁護士に相談をしたほうがよいでしょう。
弁護士が間に入って和解交渉をしてくれますので、ぜひ検討をしてみてください。
匿名・無料で、相談ができます!
※ プライバシー安全を配慮してのことなので、必ず相談はお電話でしてください。無料相談であっても、第三者に内容が漏れることは絶対にありません。(弁護士には守秘義務があります。)
元彼へのお金が返済できなさそうな額のときは自己破産を検討する
額が大きい方は自己破産を検討してみましょう。借金を元本も利子もすべてふくめてゼロにできます。
自己破産はネガティヴなイメージを抱いている方が多いのですが、そのことで起るデメリットを知って対策を整えておけば、生活をしていくのに特に問題はないです。
自己破産の場合、任意整理と違って、相手側が思った額を受け取ることができませんから、円満な解決策とはいえませんが、賃借契約があったことを完全無効にすることができるので、その点からみれば、こちら側のメリットは大きいです。
自己破産によって可能になること
- 借金がゼロになる
自己破産後に債務者が課せられる事柄
- クレジットカードが使えなくなる
- 借入ができなくなる
- 住宅や車のローンが組めなくなる
- 一定の職業に就けなくなる
- 保証人になれなくなる
- 信用情報機関に載る
- 官報に載る
- 99万円以上の現金を失う
- 20万円以上の財産はすべて没収される
- 長期の旅行に行けなくなる (裁判所から免責されるまでの3か月くらいの間)
自己破産をすると、それまでと大きく何が変わるのか? というと、クレジットカードの問題です。
新しくクレジットカードが作れませんし、借り入れができません。キャッシングだけでなく、ショッピングでもクレジットカードを使えなくなるんです。
ただ、実際困るのはこれくらいなので、「だったら、大丈夫かな…」と思うかたは、自己破産をぜひ検討してみてよいと思います。
しばらくは海外旅行などにも行けませんが、何年も旅行ができない、というわけではありません。裁判所が認めれば、渡航も自由です。
これまで同様普通に会社に通えますし、世間に知られることもありません。
ブラックリストや官報などに載っても、信用情報機関や公務的な仕事をしている人以外は、それを目にすることはないものなので、これも心配はいらないです。
自己破産をしてしまうと、「ずっと日陰の身で生きていくのじゃないか…」と思っている人もいるみたいですけど、そんなことはまったくありません。裁判所が免責の決定をすると、7年から10年で上記のデメリットもすべて消えます。
基本的に財産が没収されることになりますが、20万円までの車や預金であれば残せますし、99万円までであれば現金を手元に残すことが可能です。
5年以上経っていたら、借金を時効成立させましょう!
「お金を借りてずいぶん経っている場合」は、時効が可能かどうかを検討してみるのがよいです。目安は5年以上です。
時効が成立すれば、借金は返済する必要がありません。
相手が返済する意思を示していたときから数えて5年経過しているならば、時効成立の可能性があります。
相手が返済する意思を示していなくて、完全放置ならば、時効には10年の経過が必要になります。
改正民法第166条(債権等の消滅時効)
第166条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
時効が成立するのは、お金を貸した側が取り立てをしなくなった日から数えて、5年です。4年12か月目に、「やっぱりお金返して」といってきたら、時効は不成立になってしまいますので、注意してください。
また、5年経過しているから、といってもすぐに安心するのは拙速です。
相手がお金を返してもらう気でいた場合、あるいは途中で心変わりをして、返済してもらおう、という気持ちになった場合、こちらが知らなかっただけで、「時効が更新」されている場合があるんです。
(相手が通知書を出したり、裁判を起こしたりして、時効期間を延長させると、時効は更新されていきます。つまり時効がリセットされるんです。)
なので、時効をする場合に大事なことは、必ず専門家を通し、自ら勝手な判断をしてしまわないことです。
時効を成立させるためには「時効の援用」の手続きが必要なので、それを行ってください。「時効の援用」の通達をしなければ時効とは認められず、返済義務は発生したままです。
行政書士に頼めば、2万5千円程度で時効の援用ができますので、検討してみましょう。
時効を希望する方は、専門家に相談をしてみてください。5年経っていれば時効の可能性があります。
※ メールでも電話でもどちらでも対応は可能です。
カップルでお金の貸し借りをしたときの注意ポイント
借金が今以上に膨らむ可能性がある
借金は早くに返済したほうがいい理由に利子の高騰化があります。
お金を借りてから時間が経つと、遅延損害金(ちえんそんがいきん)が発生するんです。
遅延損害金とは、返済に遅れたために発生する金利のことで、通常の利子よりも金額が大きい利子です。これがつくと、借金額がどんどん膨れあがります。
遅延損害金は貸金業者が行っている金利ですけども、これは個人の間の金銭のやりとりでも有効です。
「個人のお金の貸し借りで利子がつくのはおかしい」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、訴訟されると、この遅延損害金が多くの場合で認められてしまうんです。
男女間のお金の貸し借りで最悪のパターン
恋人同士のお金の貸し借りは、たいてい別れたあとで相手が心変わりをして返金を求めてくる、それがパターンです。
お金を受け取った側は、はっきりと借りた意識はなかったり、お金のやりとりが実際にあったのは事実であったとしても、「借りた」という事実も曖昧だったりします。
恋人関係の場合、相手への思いやりからお金を貸したり、借りたほうも好意だと思って受け取ってしまったケースが多いです。
しかし、「自分を助けるためにお金をくれたんです」とこちらが主張をしても、訴訟を起こされたとなると、向こうに特別な非がない限り、けっこう難しいです。
いちばんよくあるのが、こっちがお金に困っていて、どうみても返済能力がないことは相手もわかっていたはずなのに、にも関わらず相手がお金をくれた、という場合です。
借りたほうは、「返済能力のない人にお金を貸して返ってくると期待する相手のほうがおかしい」と思うかもしれませんが、これを「返済能力がなかったにも関わらずお金を借りた」と裁判所が認めてしまうことがあります。
この場合は「詐欺罪」が適用されます。
個人同士のお金の問題はこじれてしまうと、刑事事件へ発展する可能性があることを知っておいてください。
男女間のお金の貸し借りはうやむやにしないことが大事
実際にお金のやりとりがあったのであれば、それがどういうものであっとしても、貸借の契約が交わされたことになるケースだと知っておきましょう。
「返して欲しい」といわれているお金は返すのがルールです。
時に、人の心は変わってしまうことがあります。それが男女関係です。
そのことも踏まえて、別れることになった場合、お金の貸し借りについては現実的に対処しなければいけません。
民事に訴えられると、とにかく面倒なので、もしそうなる可能性があるのなら、早めの対策を打ってください。
弁護士に相談をする、というのは、ちょっと躊躇してしまうと思いますが、いくらくらい返済する借金が減額されるのか? とりあえず借金診断だけしてみるのが、よいです。
悩んでいる方は、専門家に相談をすることで適切なアドバイスをもらえます。
返済できる額であれば、任意整理をして、借金を減額して、相手に毎月少しずつ返済していくのがよいと思います。
未来へ進むためには、過去の問題を片づける必要があります。
この機会に、逃げずに借金問題と向かい合う勇気を持つことをおすすめします。