個人間におけるお金の問題でトラブルになった対策 「正しい返済の仕方」で返済することがもっとも大事
個人間でのお金の貸し借りは「消費貸借契約」をしたとみなされ、返済の義務が法律で定められています。
民法第587条
第五百八十七条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
引用元:>>e-Gov法令検索
もし、ないがしろにしていたり、放置したままにしていると、次のような事態に発展する場合があります。
個人間の借金を放置して起こりうる5つの問題
- 内容証明分が送られてくる
- 少額訴訟が起こされる
- 遅延阻害金が発生する
- 強制執行が行われる
- 詐欺罪が適用される
60万円以下のお金であれば、1日で審議がなされる少額裁判が、けっこう頻繁に行われています。裁判で判決が下されると、その規定に従わなければなりません。
しかし、相手に裁判所を通さない法外な利子をつけられていたり、脅されて一括で払わされる、などということについては、法的根拠はありません。それが法的にしっかり根拠のあるものなのかどうか? を判断することが大事です。
個人間の借金の問題で大切なのは、「正当な返済方法」によって、借りたお金は返す、ということです。
もしトラブルになっているならば、専門家に相談をすると、解決できます。
お金を借りた側も法律の力を借りてお金の問題を解決することができるんです。債務者にとってもっとも有利な形でお金を返済する選択をとるのがよいです。
内容証明郵便が送られてくれば、相手が訴えるつもりがあるということ
借金をしている相手から、お金を貸したという内容を郵便局が証明する形で、手紙が送付されてくることがあります。
内容証明郵便といわれるもので、法的効力はないのですが、たとえば裁判などになった場合に、これが有効性をもって働くことがあります。
つまり内容証明郵便が送られてきた場合は、「裁判をする覚悟もあるんですよ、お金を払ってください」と相手が強い意思表示を示している、ということです。
少額訴訟されれば、必ず出頭しなければならない
相手がお金を返してこない、と相手が思ったとき、訴訟を起こしてくるケースがあります。
少額訴訟は1日で行える簡易裁判で、主に個人同士のお金の問題で利用されるものです。借りたお金が60万円以下の場合に用いられます。
その際は必ず出頭しなければなりません。自分の意見を述べ、反論すべきことは、反論できますが、示された規定には絶対に従わなければなりません。
もし事情があって出頭できない場合は、答弁書を提出しましょう。その後改めて審議されることになりますが、その場合、後日相手が異議を申し立てて通常の裁判として訴えてくることがほとんどです。
少額訴訟の場合は通常の訴訟と違って、電話会議などの例外的措置は基本的にありませんので、気を付ける必要があります。
遅延損害金が発生してしまうと、莫大なお金を返済しなければならない
お金を貸してくれた相手が「遅延損害金」を要求してくることが考えられます。
遅延損害金とは返済予定を過ぎた際のペナルティを与えるために、大きな利子を発生させてくるお金です。
どういう場合にこれが法的な根拠に基づくか? というと、裁判所に出頭しない場合など、「原告の主張と争わない意思を示した」と裁判所がみなします。そうすると、「反論がないという意思」とみなされ、法外な遅延損害金を要求されていたとしても、それを支払わなければならなくなってしまう、というわけです。
遅延損害金は、通常貸金業者が用いるものですが、個人間の借金でもこの遅延損害金は有効です。
強制執行が行われると、給料が差し押さえられる
裁判を起こされた場合、強制執行が行われる可能性もあります。
代表的な法的手段
- 支払督促
- 少額訴訟
- 通常訴訟
法的に定められた結果に従わず放置していると、強制執行が行われます。そうすると、預金や財産が差し押さえられ、それが債権者の弁済にあてられることになります。
給料もさし押さえられることになるので、会社や家族に借金のことがわかってしまいます。
詐欺罪になると、懲役10年以下の罰則が与えられる
「お金を返すつもりがなく借りた」とみなされた場合、詐欺罪として刑事事件にまで発展する可能性もあります。
刑法 第246条
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。引用元:>>e-GOV法令検索
返済する気持ちなど最初からなかったのではないか? と立件された場合、詐欺だと認められてしまいます。
たとえば、よくあるケースとして、当時相手が「お金をあげた」と思っていて、こちらも「もらったもの」と思っていて、その後相手が「お金を返してくれ」といってくると、普通お金の貸し借りがあった、とは見なされないわけですが、法的にそれが認められてしまう場合があります。
「返す約束なんてした覚えがない」とこちらがいくら訴えても、当時のお金のやりとりがあった証拠が提出された場合、お金を譲り受けた側は、100%敗訴します。
そのとき10年以下の懲役が下されます。
どういう事情であれ、相手が「お金を返して欲しい」といってきた場合は、お金は返さなければならないんです。
お金を返してくれ、といわれている際に起こるトラブル事情とその対策術
大切なのは、「正当な返済」で借金を返済するということです。このことはとにかく心得ておきましょう。
個人間でおいては、お金を貸した側が不当な利子をつけてきたり、急に請求をしてきたりしても、それに応じる必要はありません。困ったときは専門家に相談をしましょう!
注意すべきポイントについて、しっかり知っておきましょう。
約束した覚えのない利息を払う必要はない
相手が「利息を払え」といっていて、お金を返せない立場にいるとき、それがなんの法的な根拠に基づいていないのであれば、利子を払う必要はありません。
お金のやり取りがあったときに利息を払うその「合意」がなかったのならば、利息を支払う義務は発生しません。
遅延損害金や利息の正当性については、相手に「内容証明」を要求して確認することができますが、万が一、相手が「それは見せられない」「そんなものは知らない」というのであれば、無視して、OKです。
取り立てがしつこいならば、とにかく専門家にお願いしてしまったほうがよいです。
相手が弁護士をたててきている場合は確認する
すでに相手が弁護士をたててきている場合は、本当に相手が提訴しているのか? をしっかり確認する必要があります。
もし、本当に弁護士が介在しているのであれば、当人ではなく弁護士本人があなたに実際に会いにくるはずです。
メールや電話ではなく、実際にお会いするべきです。そして本当に弁護士であるのか? お名前をネット検索して、確かめてみてください。
本当に弁護士によって提訴してきた場合、納得できる内容であるならば返済に応じてください。互いにすれ違いがあり、返済金額も不当であると思われる場合は、こちらも弁護士をたてるのがよいです。
脅迫を受けているならば警察に相談
個人同士の借金のトラブルから、いろんな問題が発生しています。
たとえば、お金を借りていた親がその知人に自分の娘を賠償代わりに差し出した、という事件が、以前ありました。
「お金を返せないなら体で払え」といわれて風俗へ働きに出るいう問題なども、頻繁に起こっています。
こちらがお金を借りている側だとしても、自分の体や精神を犠牲にしてまで、相手の要求に応じる必要はありません。
確かに、お金は突然激しい憎悪を相手に起こさせます。こちらも低姿勢になって、要求を呑んでしまう場合もあります。
しかし、相手が、怒り出して、訴えてやる、借りてでも返せ、体を売ってでも返せ、と豹変した要求に応じる必要はありません。この国は法治国家なんです。ぜひ法律を頼ってください。
時間が経っていると、双方の意見の食い違いが必ず出ます。小さなほころびがどんどん大きなもつれとなってきますので、個人間の借金を放置しておくのは危険なので、早めに対策には取り組みましょう。
専門家に頼み任意整理で和解案を試みる
任意整理では返済能力に合わせた借金返済ができる
友達からお金を借りていて、返済に困っている方は任意整理によって和解をする、という解決策をおすすめします。
お金が用意できない、または返済する気持ちがあっても、「一括で返せ」とか「今すぐ返せ」など相手がこちらの交渉を受け止めてくれない場合があります。
しかし、第三者を介入すると、こちらの都合も配慮をした返済ができるようになります。複雑になった相手との金銭トラブルを解消することができます。
相手と冷静なやりとりができない、というときにとても便利です。
任意整理は裁判所を介さず弁護士を通して相手と借金返済交渉をする和解策です。
「長期の分割にしたい」とか、「財産は取り壊さずに分割払いをしたい」とか、債務者の意見をくみ取って返済計画が組めることが最大の特徴です。
任意整理を用いれば、依頼した弁護士が二人の間に介在して返済交渉を手伝ってくれます。
任意整理によって可能になること
- 多額の利息がある場合、借金が減額される
- 自分の返済能力に合わせた形で、毎月一定の額を無理のない期間で支払うようにすることができる
- 返済相手を選べる
たとえば、ある人には多額のお金を借りていて、ある人には少額のお金を借りていて、両方に借金を返済するのは難しい、といった場合、前者だけを任意整理の対象者として、後者については自分で交渉する、といったこともできます。
任意整理は、着手金として1件につき2~5万円程度、減額報酬として減額された借金額の10パーセント、また解決した際に1件につき2万円程度の解決報酬が必要になります。
任意整理にかかる費用の目安
着手金 | 1社につき2~5万円 |
減額報酬 | 減額された債務額の10% |
解決報酬 | 1社につき2万円 |
手数料 | 1社千円程度 |
※ 消費税がかかります。
たとえば、複数の相手との問題を処理する場合は、着手金が2倍かかることになります。減額報酬というのは、弁護士を通せば、相手が要求している利子を減らしたり、なくしたりすることができますから、そのお金に対してかかる報酬というものです。
費用についての詳しい説明はこちらにありますので、個人間のお金の問題でトラブルになっている、という方は、ぜひ弁護士の力を借りてください!
任意整理をした際のデメリット
任意整理をするときに注意しておくこと
- 住宅ローン・マイカーローン・教育ローンが組めなくなる
- 新しくクレジットカードが作れなくなる
- 銀行口座が3か月凍結する
- 保証人になれない
- 携帯の機種を分割購入できない
- 新転居先の審査に落ちることがある
任意整理をすると、5年ほどいわゆるブラックリスト(信用情報機関)に名前が掲載されます。
5年間借り入れができなくなる、と思ってください。住宅ローン、車のローンは、これから5年間は組めません。また保証人なることも、これから5年間できません。
しかし、対策をとることで、かなり快適になりますので、知っておきましょう。
たとえばクレジットカードが使えなくなりますが、デビットカードを使うことで対応をしましょう。
保証人にしばらくなれなくなりますが、お子さんの奨学金で保証人になる必要がある、といった場合は、家族である別の誰かに依頼をしましょう。
携帯の機種を分割購入できない、といった問題については、今持っているものか、中古で解決しましょう。5年すれば、信用情報から名前が消えます。もとのように普通に分割購入できるようになります。
また、通常の貸金業者と任意整理をした場合においては、債権者は債務者と直接連絡をとることを禁止されますが、個人間のお金のトラブルでは、任意整理をしても相手が自分に連絡してくることを禁止されません。
なので、お金を返済すれば決着がつく類のものであるのか、返済すれば解決するというものではないのか、を考えてみて、任意整理がいいのか悪いのか、を考えてみる必要があります。
このまま友達との借金問題を抱えたままにするのか? 多少のデメリットがあっても借金問題を解決するか? を天秤にかけて、前向きな選択をしてください!
任意整理のさらに詳しいデメリットと対策に関しては、以下の内容が参考になります。
>>任意整理と信用情報機関掲載、そのデメリットと対策について
専門家に相談をしてみたい、という方は、無料で弁護士に相談ができますので、この機会に利用してみてください!
プライバシー配慮のために診断結果はお電話での対応になります。無料相談であっても内容が第三者に漏れることはありません。わからないこと、不安なことは、弁護士に訊ねてみましょう!
時効が可能かどうかは専門家に聞いてみることが大事
何十年経っていても時効は成立していない場合が多い
時効を考えている方は、本当に時効が成立するものなのか? についてしっかりと確認をしてみる必要があります。
たとえば、「時効の更新」が行われていた場合、法律で定められている年数が経過していても「時効」は成立しません。この「時効の更新」は、個人間のお金の貸し借りでも行われます。
改正民法第166条(債権等の消滅時効)
第166条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
法律では、相手が返済を要求した最後の日から数えて5年が経過していれば、返済義務は消滅することになっています。つまり、お金を貸した側が、相手に対して「返してもらわなくていい」と思った、あるいは「この人は返済能力がない」と認めてから5年経っているならば、時効だ、ということです。
時効の中断が成立するケース
- 債権者側が提訴してきている
- 「催告書」が送られてきた過去がある
- 未納のあいだ一度でもこっちが返済の意思があることを認めたことがある
しかし、相手が裁判を起こしている場合は、確実に相手は返済の意思を示していることになります。
あるいは、催告書」が送られてきている場合にも、相手には返済の意思はしっかりあるというわけです。(「催告書」は督促状より強い請求書です。)
引っ越しなどが原因で、本来郵送されているはずの催告書が届いていないだけ、というケースもけっこうあります。「そんな郵便もらってないから」とたかをくくってしまうのは、危険です。
もし、5年のあいだに一度でもこういったやりとりがあった場合、時効が成立しないケースがほとんどです。相手が取り立ての意思を示しており、こちらも返済の意思をしているわけです。
時効の成立における5年は、債権者側も債務者側のどちらも「借金についてどうでもよくなった」と認めてから5年です。
こちらの思い込みで、5年経っているから時効だ、と思ってしまうことが多いんですが、時効を期待している方は、この点にはとても注意が必要です。
時効の援用の手続きをしないと時効は認められない
もし、時効を成立させたい、と考えているのであれば、「時効の援用」をする必要があります。
「時効の援用」(時効を法的に立証させる通達)を相手側に受理してもらうと、法的に時効が認められることになります。
時効を考えている場合は、行政書士に依頼をして、確実に時効が可能であるかどうか? を確認して、実行しましょう。
行政書士に頼めば、2万5千円程度で時効を成立する手続きができます!
時効を希望したい方は、専門家に相談をしてみてください。
※ メールでも電話でもどちらでも対応は可能です。
時効について、さらに詳しく知りたい方は、こちらをぜひ参考にしてください。
>>時効をする際の注意点と対策|借金を踏み倒しての夜逃げはとても危険
友達とトラブルになっている借金問題はひとりで解決しようとしない
友達から借りたお金でトラブルになっているときは、個人同士で決着させようとするのではなく、専門家の力を借りましょう。
相手が法外な利子をつけてきたり、一括で返済を求めている場合は、それに応じる必要はありません。返済が難しい場合は、専門家に頼れば解決できるので、とにかく相談をしてみるのがよいです。
お金とは=人の存在価値です。それをないがしろにされると、確かに友達であっても、その分だけ相手を無礼に思って、失望しますし、強く出てくる場合があります。
しかし、いくらこちらが弱い立場であったとしても、限度を超えた要求には一切応じる必要はありません。弁護士が力になってくれます。裁判所を通さないで可能なので、費用もそれほどかかりません。
借りたお金を返す行為は、過去の決算ではなく、未来にもたらされる行為である、ということを知っておきましょう。それはこれからの個人間の問題も含むものです。
過去の約束を果たさないことには、未来の約束も果たされることはありません!