借金を隠して結婚をすると、離婚の際に慰謝料が請求される可能性あり
借金を隠していたことは直接に慰謝料の請求の対象とはならないですが、生活に支障が出てくれば、「借金があった者に重大な過失があった」と判断されるケースがあります。
その場合、相手側からの慰謝料の請求が認められます。
刑法第246条には、次のように書かれています。
刑法第246条 詐欺罪
1.人を欺いて(あざむいて)財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
引用元:>>wikibooks
借金があること自体、それがなんらかの刑事罰処罰となることはありません。しかし、それが理由の一端となり、慰謝料を請求される問題に発展するケースがあるわけです。
たとえば、その隠していた借金問題によって、著しくパートナーが被害を被った、と判断される場合です。
離婚の要因とみなされると、確実に裁判で負けますので、その点は注意が必要です。
離婚をする際に借金を隠していたことは不利な要素になる
借金が離婚の理由として法的に認められることはありませんが、借金が原因で家計のやりくりに支障をきたすと、「借金が離婚の理由」として認められてしまいます。
民法第770条 1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用元:wikibooks https://ja.wikibooks.org/wiki/憲法770条
上に示されたようなことにまで家庭生活が瓦解に向かったとき、借金を抱えていることが重大な過失として見られ、離婚の際にとても不利になるわけです。
離婚が法的に認められるためには「離婚理由」が必要で、借金があるだけでは、「民法第770条 第一項」における「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当しません。
しかし、たとえば、生活がままらなくなったり、ほかのDVなどの問題が併発して起こっていると、借金が法的にも離婚の理由となる可能性が出てきて、慰謝料の問題にまで発展してくることがあるわけです。
借金を隠していたことは詐欺罪にはあたらない
ただし、借金を隠していたことが詐欺罪にあたるか? については該当しないので、そのことについては安心してください。
結婚詐欺とは結婚を名目にお金をだまし取っていた事態を差します。
結婚する気がないのにそのように見せかけて金品を受け取っていた、という事実がない限り、借金を黙って結婚をしたことに関しては、なんの罪にも問われません。
しかし、借金については、できればパートナーに打ち明けたほうがよいでしょう。打ち明けてみよう、という方は、>>借金を打ち明けるタイミングには要注意!で、具体的な話の手順をお話しています。
ここからは、借金を抱えたまま況で、この先起るべき事態をお話していますので、ぜひ目を通しておいてください。
どうしても内緒で済ませたたい、という方は、債務整理を行うのがよいです。
弁護士に依頼をした時点で、今後に払うべき利息を全カットできますので、難しくなった借金も完済ができるようになります。
隠し通したままで解決できます! 債務整理については、さらに記事の後半でお話していますので、併せて参考にしてください。
借金を隠して結婚すると起こりうる5つの問題
借金を隠して結婚をすると起りうる5つの大きな問題
- 養育費・教育費の圧迫
- 秘密を抱えていることに対する良心の呵責
- 知られた場合には対応が難しい
- 家計のやりくりの困難、生活が破綻する恐れ
- 教育ローンや住宅ローンが組めない
養育費・教育費にお金がかけられない
養育・教育には莫大な費用がかかります。
これから養育費がかさむことはあっても、少なくなることはありません。
一般的に1人の子供が、0歳から大学卒業までにかかる養育費は、現在1,500万円といわれています。
内閣府 子供1人あたりでみた子育て費用
18歳以上も含めた場合の1人あたり子育て費用を参考値としてみると、1997年度が1,502.3千円/人・年、2002年度が1,598.5千円/人・年である。
一人のお子さんが、仮に幼稚園から大学まですべて国公立に通ったとしても、500万円の教育費がかかります。
幼稚園から大学までにかかる子供の平均の教育費用
学校教育費 (公立のケース) | 学校教育費 (私立のケース) | |
幼稚園 | 22万3,647円 | 52万7,916円 |
小学校 | 32万1,281円 | 159万8,691円 |
中学校 | 48万8,397円 | 140万6,433円 |
高等学校(全日制) | 45万7,380円 | 96万9,911円 |
大学 | 262万6,400円(国立) 269万7,200円(公立) | 526万7,200円 |
合計 | 411万7,105円~418万7,905円 | 977万151円 |
もちろんこれは学校にかかる費用に限った話なので、ほかにもさまざまな養育に関するお金が必要になります。
借金があると、養育・教育にお金がかけられなくなっていきますので、早めの対処が必要になってきます。
秘密を抱えていることに対する良心の呵責
借金をした状態で結婚生活を送ると、良心の呵責に苛まれる苦しみがさらに激しくなっていきます。
将来を約束した、ひとつ屋根の下でともに暮らす相手に、「いつ知られるかもしれない」、そんな秘密を持ちつづけているのは精神的にかなりキツイです。
借金を知られた場合の対応の難しさ
取り立てが行われて、家族に迷惑がかかることが考えられます。
取り立てが行われて、家族に迷惑がかかることが考えられます。
取り立ては次のような順序で行われますので、知っておきましょう。
取り立ての流れ
ご家族に隠していた借金が見つかってしまう、といった場合、業者からの郵便物や、不審なクレジットカードの発覚で勘繰られてしまうことが多いです。
借金が発覚する理由ベスト3
❶ 業者からの郵送書類
❷ 明細
❸ クレジットカード
借金の発覚についていちばんの問題は、借金の理由や額よりも、その隠していた事実について自分を許すことができないことです。
結婚生活を継続できたとしても、その際に生まれてしまった“しこり”を完全になくしてしまうことがむずかしくなってきます。
万が一借金をしていることを知られた場合を想定して、準備をしておく必要があるわけです。
見つかった場合に、「こんなふうにして解決予定である」と相手に言えたならば、状況はまったく違ってくることになります。具体的な返済計画を立てることをおすすめします。
たとえば、妻に借金を隠している男性の方は、以下の記事が参考になります。
家計のやりくりが困難になる、生活が破綻する恐れ
今後返済が困難になった借金生活がつづいた場合、生活費の捻出に困ったり、家計のやりくりが大変になるる問題が起こる可能性が出てきます。
そうした場合、借金が原因で生活が破綻してしまったり、最悪、離婚にまで発展する事態も起こりえます。
離婚をしたら、生活をするのにさらにお金がかかることは弁えておきましょう。
教育ローンや住宅ローンが組めない
結婚生活において最もお金がかかるのは「住宅ローン」です。
これから物件購入を考えている方は、よく注意してください。
住宅ローンに必要なお金
- 物件購入価格
- 諸費用 (中古物件 物件購入価格の6%~10%程度) (新築物件 物件購入価格の3%~7%程度)
諸費用の内訳
融資手数料 | 金融機関に支払うお金。3~5万円 |
ローン保証料 | 保証会社に保証人となったもらうときにかかるお金。借り入れの金額や返済期間によって異なる。 |
斡旋手数料 | 不動産やローン会社での手続き代行にかかるお金。会社によって異なる。 |
火災保険料 | 15~40万円 |
地震保険料 | 1,000万円あたり、1~3万円。 |
団体信用生命保険料 | 10~12万円。 |
現在は持ち家など念頭にないかもしれませんが、住まいについて考える時期はすぐにやってきます。
若い頃でないとローンの審査には通りにくいですし、年をとるほど持ち家を持つことが難しくなっていくからです。
借金があると、結局家を持てない人生を送ることになります。
抜け道を探してローンの審査を潜り抜けても、その後借金に追われてローンの返済が困難になってしまう方が大勢います。
そうなると、せっかく手に入れた住宅を手放さなけれならないどころか、多額の借金を抱える状態になってしまいます。
さらに、借金がある人が住宅ローンを組むことにおいて、最も注意しておかなければならない点があり、それは返済が遅れたことがあったり、滞ったりした事実があると、そのときに借金の完済がされていてもローンに通らないことがある、ということです。
金融業者は債務者のリストを共有して自由に閲覧できるようになっているため、その際、結婚相手に借金をしていこともわかってしまうことになります。
結婚前に借金がある方は「婚約・新婚のうちに借金を完済」の計画を立てるとよい
早めの解決策への手立てが大事
借金を抱えたまま結婚をすると、後にいくつかのトラブルを発生させる危険性があります。結婚生活そのものを壊しかねません。
これを回避するには、新婚のあいだに借金を完済できるように、今から現実的な計画を立てることです。
返済が困難になった借金であっても、債務整理法を用いることで完済ができます。
債務整理法の1つである任意整理をすれば、今後の利息をゼロにできるので、完済の目途が立てられるようになり、結婚相手にも内緒で返済が可能です。
とにかく結婚生活にはお金がかかることを把握しておきましょう。
結婚式費用との重負担
そもそも結婚式というイベント自体に莫大な費用がかかります。
挙式は地味に行う、そもそも式を挙げない、という方もいらっしゃるとは思いますが、それでも結婚をする際には、いろいろとお金がかかります。
式を挙げるとなると、結婚式にかかった費用が、その後大きく負担となってくることが考えられます。
結婚にかかる費用の平均相場
- 461万8千円
結婚にかかる費用の内訳
結婚式費用 (挙式+披露宴) | 354万9千円 |
婚約費用 (結納式+婚約食事会) | 29万9千円 |
指輪費用 (婚約指輪・2人分の結婚指輪) | 59万7千円 |
新婚旅行費用 (旅費・お土産代) | 71万8千円 |
結婚をされるほとんどの方は、ブライダルローンなどで借金をして式を挙げているのが現状で、その後返済に困る方が大勢見られます。
結婚とは莫大なお金がかかるところからスタートをするもの、ということを念頭に置いておいて、将来を考えましょう。
結婚後の新生活にかかる費用
新生活にかかる費用
- 賃貸契約(敷金礼金、およそ家賃の5~6倍) 18万円(東京1LDK)
- 引っ越し代 6万円
- 生活用品 32万円
- インテリア家具 28.4万円
- 家電 33.4万円
結婚生活はしばらくは賃貸での住居を考える方が多いと思いますが、新居を構えるならば、そのときに家賃代、家具や生活用品などがかかり、どちらかのマンションやアパートに引っ越しをすることを考えても、引っ越し費用がかかります。
子供が生まれれば、その後は継続的に養育費が上がっていきます。
平均の出産費用
- 妊婦検査費用 (月一回、臨月時は週一回の計14回) 10万円
- 出産費 正常分娩 40万円
- 育児用品費用 10万円
今なんとかやりくりできていても、今後思ったように給与が上がらなかったり、事故や病気になって、臨時の支出が出てくる可能性もあります。
借金を隠して結婚をすることは非常にリスクが高いので、「なんとかなる」の気持ちは、一度冷静になって見つめなおしてみる必要があるでしょう。
どんなものにいくらくらいのお金がかかるのか? をしっかり算出しておくと、イメージが明確になるので、「結婚式費用」については具体的に書き出してみましょう。
結婚式で借金を抱えてしまった事情と対策については、以下の記事でも詳しくお話をしています。
返済が困難になった借金も債務整理であれば解決できる
借金事情を把握することが大切
借金がある方は、まずはご自身の借金事情について、できる限り正確に把握してみてください。
借金を把握するポイント
- 金融機関名 (お金を借りている金融機関)
- 金額 (金融機関ごとにいくら借りているか?)
- 返済日と返済額 (毎月の返済日と支払い額)
- 給料 (毎月の決まっている収入)
- 結婚後にかかる出費
- その他の借金、また支払い
どこからいくらくらいお金を借りているのか?
借り入れをした原因や、借金の使い道について、冷静になって、一度判断にしてみましょう。
借金を深く知るポイント
- 借金の原因
- 借金の使い道
- 債務年数と借金額、借入社数の推移
自分の返済がどのレベルの困難であるのか? を判断できれば、今後どれほど大変なものになるか? についてもだいたいの想像ができると思います。
たとえば、ギャンブルのために毎月3万円の借り入れをしており、借入額を2万円にすればなんとか返済が可能だ、と思えるのであれば、そのように対応を練ってみればよいです。
しかし、「返済がむずかしそう」「これからのことはわからない」という場合は、債務整理での借金完済を検討してみるとよいです。
任意整理をすれば、今後の利息をゼロにできる
3つの債務整理
- 【任意整理】 弁護士を通して、債権者と減額交渉をしてもらう ☞ 固定収入がある人向け
- 【個人再生】 裁判所を通して、大幅な借金を減額してもらう ☞ 住宅ローンや車のローンがある人向け
- 【自己破産】 裁判所を通して、借金を全額免除してもらう ☞ 借金返済が著しく困難な方
まずは任意整理を検討してみましょう。年間100万人近い方が利用している、最もポピュラーな債務整理法です。
弁護士に債権者との間に立ってもらって、今後支払う利息をゼロにしてもらいます。
裁判所を通さない債務整理法なので、手続きが簡単で、費用も高くありません。弁護士とは一度面会するだけで済みます。(地方の方は出張面談してくれます。)
借金理由も問われません。家族にも、会社にも内緒で行えます。まずは任意整理で借金を完済できないか? を検討してみるとよいです。
任意整理の手順
- 弁護士とは一度だけ面談が必要
- 2日から1週間で取り立てが止まる
- 弁護士が債権者との和解交渉をはじめる
- 交渉が成立した業者から、利息をカットした額を毎月返済しはじめる
- 3~5年で完済
書類などで怪しまれる心配をされる方は、そのように言えばしっかり弁護士が配慮してくれます。
財産の没収もありませんし、固定収入さえあれば条件も要りません。
任意整理の流れ
ポイント
任意整理を弁護士に依頼をして、業者への実際の返済がはじまるのは、それから4か月くらい後になります。
依頼をした時点で利息は止まりますから、返済がはじまるまでの一定期間、債務者は借金の取り立てから完全自由になることができます。
そのときに返済するお金を貯めておくこともできます。
弁護士費用については、以下の記事に詳しくあります。
弁護士に無料相談をしてみましょう。
※ 弁護士とご自身の適切な返済プランについて一度話す場を持ってみましょう。プライバシーを配慮してのことなので、お電話でのお話が必要になります。
任意整理をする際はデメリットについてよく知っておく
任意整理を行ってから5年の間に起るデメリット
- 信用情報機関に事故情報が載る
- 住宅ローン・マイカーローン・教育ローンが組めなくなる
- 新しくクレジットカードが作れなくなる
- 銀行口座が3か月凍結する
- 保証人になれない
- 携帯の機種を分割購入できない
- 新転居先の審査に落ちることがある
任意整理をすると、5年ほど借り入れができなくなります。信用情報機関に任意整理をしたことが掲載されるためです。
任意整理対象であった業者のクレジットカードも使えなくなりますが、これらのことに関しては以下のような対策をすることで、応対しましょう。
任意整理によって起るデメリットへの対応
- 緊急に借り入れが必要な場合は両親にお願いをする
- カード払いはクレジットカードではなく、デビットカードを使う
- 5年経過すれば、デメリットはすべて消える
- 借り入れができない期間は、お金にだらしない性格を改める期間だととらえる
借金がある方は、5年間は二度と借金をせずに、今後のライフプランを立てる時期、そういうふうにとらえて、任意整理に臨むのがよいです。
強制的に借り入れができなくなる力が外部から働くと、借金癖が改められ、生活も整ってきます。
5年経てば、元通りになり、自由に借り入れもできるようになります。
そもそも借金がある状態であれば借り入れは難しいわけですし、借金のまま結婚生活を送るのか、きちんと清算をするのか、どちらがよいか、を判断してみましょう。
任意整理によって起るデメリットと対策については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
>>任意整理と信用情報機関掲載、そのデメリットと対策について
ご自身に相応しい借金返済プランを、専門家が提示してくれます。一度専門家と借金返済について話し合ってみてください。
※ 無料相談であっても、内容が第三者に漏れることは決してありませんので、安心してください。
借金は早めの対処をすれば幸せな結婚生活を送れます【経験談】
借金を隠して結婚をした際の慰謝料問題
- 離婚をする際に借金を隠していたことは不利な要素となる
- 借金を隠して結婚をしたこと自体は詐欺罪にはあたらない
借金を隠して結婚をすると起りうる5つの問題
- 養育費の圧迫
- 秘密を抱えていることに対する良心の呵責
- 知られた場合には対応が難しい
- 家計のやりくりの困難、生活が破綻する恐れ
- 教育ローンや住宅ローンが組めない
相手に知られてしまった場合、信頼関係を取り戻すことが難しいです。
借金はパートナーに内緒で返済することができます。
{私の場合は、妻にバレましたが…。完済することで、家族への信頼感を少しずつ取り戻していきました!}
家族は大切な絆で結ばれています。相手を失望させないように、また自分も後悔をしないように、今自分ができることをしましょう。
幸せな結婚生活を歩んでください!